09/16
Wed
2015
都道府県労働局等に寄せられている企業と労働者の紛争に関する相談で、「いじめ・嫌がらせ」に関するものは近年急増し、平成24年度には「解雇」を抜いて相談件数のトップとなっています。厚生労働省の各種調査の報告書等から、パワーハラスメントの現状を紹介します。
職場でのひどい嫌がらせ、いじめ、暴行や職場内のトラブルにより、うつ病などの精神障害を発病し、労災補償を受けるケースが増えています。
職場内でのいじめや嫌がらせに悩む職場が増えてきています。これら職場のパワーハラスメントは、適切な対応により、予防・解決が可能です。組織全体で対応し、快適な職場環境の実現をめざしましょう。
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性※を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。
※上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間など、様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。
(平成24年1月 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告より)
たとえば、こんな行為
・考え方
①は、業務の遂行に関係するものでも「業務の適正な範囲」に含まれません。
②と③は、原則として「業務の適正な範囲」を超えると考えられます。
④~⑥は、何が「業務の適正な範囲」を超えるかは業種や企業文化の影響を受け、具体的な判断も行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうかによって左右される部分があるため、各企業・職場で認識をそろえ、その範囲を明確にすることが望ましいです。
被害者に与える影響 | |
・ 士気の低下、能力発揮に支障があります | ・ 心の健康を害することがあります |
企業に与える影響 | |
・ 職場風土を悪くします | ・ 被害者の職場復帰にも時間と労力を要します |
・ 本人のみならず周りの士気が低下します | ・ 加害者や企業の法的責任が問われることがあります |
・ 解決に時間と労力を要します | ・ 事件が公になれば、企業の評価は一気に落ちます |
職場のパワーハラスメントの予防・解決は、組織的な取組はもちろんですが、みなさん一人ひとりの取組も重要になります。
パワーハラスメントの予防・解決の考え方や高い効果が期待できる取組をはじめ、個人レベルでできることも紹介します。この問題を他人事と考えず、正面から向き合いましょう。
・ 「職場のハラスメント対策ハンドブック」を作成し、組合員に配布しています
・ 年1回ハラスメント撲滅標語の募集をしています
・ 上司の部下への接し方等の研修・講習等を実施しています
・ 労使の情報共有、定期的な労使協議、労使協定の締結など労使で取り組んでいます
調査結果によると、パワーハラスメントに関する相談がある職場には、共通する特徴があります。あなたの職場は大丈夫ですか?
・ 上司と部下のコミュニケーションが少ない職場
・ 残業が多い/休みが取りにくい職場
・ 失敗が許されない/失敗への許容度が低い職場
過去3年間にパワーハラスメントに関する相談を1件以上受けたことがある企業は、回答企業全体の45.2%で、そのうち実際にパワーハラスメントに該当する事案のあった企業は、70.8%です。
回答企業全体の80.8%が、「パワハラの予防・解決を経営上の課題として重要」だと感じている一方で、予防・解決に向けた取組をしている企業は45.4%にとどまっています。特に、従業員99人以下の企業においては18.2%と2割を下回っています。
パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組として実施率が高いのは「管理職向けの講演や研修」で、取組実施企業の64.0%で実施され、「就業規則などの社内規定に盛り込む」が57.1%で、高い実施率となっています。
厚生労働省 平成26年6月『NOパワハラであかるい職場づくり』より
---スポンサードリンク---